2011年2月20日日曜日

ウイスキーライブ2011 2日目 MC3コマ目


最後のマスタークラスはグレンドロナック。
講師は、ベンリアックと同じくJames Cowan 氏。
1826年に設立され、紆余曲折を経て2008年にペルノリカールから独立。
High Qualityをビジョンとし、Journey of Re-discovery.
良いシングルモルトを供給する。

創業当初は売春宿に売り込んでいたこともあった。
1960ティーチャーズ家が買収。
量より質を目指した。

飲み方は好きなように。
ただし、シングルモルトをコークで割る時は、
家を閉め切って決してスコットランド人には見つからないように。

グレンドロナックは2つの水源を有する。
ドロナックバーンの水は冷却に使い、バルヌンダムは仕込みに使う。
美しいunder back, wash back も木製、最大100時間の発酵。
サイズの異なるポットで2回蒸留する。
最先端の熱交換器で高い効率を実現。
6つの熟成庫、ラック内でローテーションをする。

ティスティングは以下。
15年 リバイバル
100% European Oak cask

14年 バージンオークフィニッシュ
American Oak Hog Headで熟成、18ヶ月のVirgin Oak Finish
スパイシー、フレッシュ、ナッツ。

15年 モスカテルフィニッシュ
甘味が強く、スパイシー・ナッツはやや弱い。
マジパン。

Limited Edition Single Cask 1
#2512 1991 Vintage 18yo
オロロソシェリー 51.9%
ヘーゼルナッツ、クルミ、チョコレート、オロロソシェリーのアロマ、
プラム、トフィー、クリスマスプディング。
Big 18 yo

Limited Edition Single Cask 2
#3068 1998 Vintage 20yo
ペドロヒメネス 52.6%
クリーミィ、ビターチョコ、シナモン、レーズン、ナツメヤシ、フルボディ。

Limited Edition Single Cask 3
Csk441 1971 39yo
ペドロヒメネス 48.1%
複雑でリッチ、最早液体のデザート。

他の試飲グラスはとても飲み切れなかったけれど、
これだけは死ぬ気で飲み干しました。


ウイスキーライブ2011 2日目 MC2コマ目


二コマ目は「ウイスキーの四季」。
講師はDave Broom 。
ウイスキーの味わいを要素から表現するのではなく、
各季節毎のイメージで表し、そこから個別の要素を取り出してみる試み。
スコットランド人のDaveがJapanese Whisky を語る。
New way of looking whisky.

春は、白州バーボンバレル。
色は緑。
森の中、色や匂い、松、芽吹く草、ミント。
口に含んで舌の上にしばし留めてのティスティング。
強過ぎないバーボン、グリーンのアロマ、リンゴの花、草を刈った。
これは白ワインのように扱っても良い(Changing Context)。
冷やしてシャンパングラスで食前に。
ハイボールやカクテルにも合う。

これはゆっくり蒸留され、ポットの銅と接する時間が長い。
そのため硫黄が消え、優しく軽い味わいのウイスキーになる。
リフィルのバーボン樽。

夏のウイスキーはカフェグレン。
夏は黄色。果物が熟し、花が果実へ。
バナナ、バニラ、トフィ、バタースコッチ、パッションフルーツ。
のんべんだらりと、リラックスして。
加水するとオイリーなテクスチャーが顕れる。
口中にねっとりと。

シングルモルトはそれ同士では反りが合わないことが多いが、
グレンのフレーバーが仲を取り持つ。
それがブレンデッドの妙。

カフェ式連続蒸留器はグラスゴーと宮城峡で使われている。
最古のカフェ式蒸留器はガイアナでラムを蒸留するのに使われている。

最近は軽いグレンウイスキーが多いが、
カフェ式のグレンはそれに真逆でオイリー、ボディが強い。
実に夏っぽいドラム。
コーンの香り、カフェのオイル、ウッドのバニラ、実にセクシーなウイスキー。

ブリーザで冷やし、オンザロックも似合う。
ファーストフィルのバーボン樽。

秋は竹鶴21年。
熟し切った果物。
ハニー、ベリー、ナッツ。
寒くなってくるけれど、落ち葉に残る暖かさを思わせる。
素晴らしくリッチなアロマ。
ウッディでキャラメルフルーツ、マッシュルーム、コケ。
余市のリッチさと宮城峡のやわらかさの、調和の取れたバランス。
スローダウンし、白檀や杉、最後にスモーキーさが。
時間をかけてゆっくりと味わう。
政孝とリタのロマンスに思いを駆せながら。

もう一つの秋は羽生2000ミズナラ。
ミズナラは日本だけのオーク。
ウッディでスモーク。
ミズナラはお寺の様だ。
お香の香り、ニス、リッチでソフト。
熟したベリー。

冬は軽井沢1991。
ダークで、クリスマスプディング。
力強い、土っぽさ、ジャム、ストロベリーやワイルドベリー。
1820年代のスペイサイドのような。
小さなStillで蒸留することで、硫黄を残す。
Endored, European Oak.
次の春を待つウイスキー、Cigarと共に。



ウイスキーライブ2011 2日目 MC一コマ目


この日はマスタークラスを3コマとも入れているので他の試飲は控えめに。
そう思いつつ、
アランのマネージャーズチョイスのシェリーカスク何ぞ飲んでみたり。

一コマ目はブルイックラディ。
講師は若干30歳の蒸留所長、アラン・ローガン。
祖父はラフロイグで25年、父も同じく45年務め上げた3代にわたるウイスキー一家。
再開されてまだ間が無い、ある意味若いディスティラー。
アイラでは唯一の独立系。

19世紀は化学肥料はなかった。
そこに回帰する意味で有機栽培の大麦で仕込むことを始めた。
マッシュタンクもスティルポットも1880年の創業当時のものを使い続けている。
「ブルイックラディ」は「海辺の丘」の意。
アイラには8つの蒸留所があるが、いずれも沿岸部にある。
当時、運搬に船が使われた為であるが、
そのためアイラのウイスキーは潮の味を取り込んでいる。

使うモルトは全てスコットランド産。
(竹鶴が留学していた時代、既にカナダ産が使われ始めていた)
4割が有機栽培、3割はアイラ島産を使う。
ピートは深い層から切り出して使う。
下の層のものは凝縮され、湿り気が多い。
湿りのあるピートは、more smoke, less frame

香の6割は樽に由来する。
バーボンカスクはゆっくり熟成し、
ヨーロピアンカスクは早く熟成するのでフィニッシュに。

一時閉鎖前の原酒を使った15年を新製品として出してきたけれど、
むしろ若い原酒を売りにしたRock, Waves, Peat などをラインナップする。
そしてもう一つの新製品が"The Botanist" (ジン)。

イングランドにウイスキーが普及する前、
最初に飲まれた蒸留酒が各種の香草を使ったジンであった。
ウイスキー以前への回帰を目指す、と言ったところでしょうか。

2011年2月19日土曜日

ウイスキーライブ2011 初日

オープニングから。各ブースをちょろっと回って幾つか試飲。 
唯一、グレンファークラス105を有料試飲してみる。 

マスタークラス一コマ目はニッカウィスキー。 
竹鶴政孝の基本的な軌跡は知っていたけれど、 
スコットランドでの具体的な動きをリタと重ねて解説。 
試飲は 
シングルモルト余市1990、 
シングルカフェモルト1994、 
シングルモルト宮城峡1990、 
そして竹鶴21年。 

ヴィンテージの余市と宮城峡は去年で最後との事。 
ただし趣向を変えて、ファンのためのボトルは出すとの事。 

ウイスキーライブ ニッカのマスタークラスでお土産に入っていた一冊、「ヒゲのウヰスキー」 。
新潮文庫判にアサヒビールが増補の上復刻した非売品。 
今日のマスタークラスは、この一冊をベースにしたものでした。

2コマ目はベンリアック蒸留所。 
講師はアジアパシフィック担当のJames Cowan氏。 
ベンリアックは、幾多の変遷を経て2004年に独立系のディスティラーとなった。 

近々フロアモルティングを再開予定。 
ビジネスとしては成立しにくいが、大事な事。 

試飲は、 
12年シェリーウッド、17年Rioja Wood Finish、 
15年 1994 Manager Choice Cask #6696、 
32年 1978 Tokaji Finished、 
31年 1977 Classic Beniach Speyside 

3コマ目は取っていなかったので、一休みしてからもう少し試飲してホテルに帰還。