設定が破綻してたり物語に矛盾が垣間見えても、自分の肝に入るモノがあれば勢いで読み進んでしまう。まあそんなところ。所謂ライトノベルと呼ばれるジャンルはまだそんなに読破してはいないけれど。
狼と香辛料
かつて、とある作家のシリーズにどっぷりはまって以来、ひとおおかみの物語はさくさく許容してしまいます。また中世の欧州にはさっぱり無知なのも却って良かったのか。特に気に障る要素もなく勢いで読み進む事が出来ました。
もう一つ、ハッピーエンドは物語の死であるなんて言葉が読み手の価値観として自分の中に存在する事もまたこの物語に惹かれる理由。いつまでも幸せであり続ける事はあり得ない、だから幸せな今を大事なものとする為にこそ大事なものを切り捨てる決断。それを越えて尚幸せであり続けようとする歩みを紡ぎ続けるホロとロレンス。これは、急所を突かれました。
物語シリーズ
西尾維新の言葉の軽さはあまり好きではありませんが。一冊毎に語り手を代え語り口を変える手腕は見事。しかも物語が終わる度、登場人物は得たものの代わりに何かを失う。読み手にハッピーエンドを予想させながらも安易にそこに導いてくれないひねくれた書き手の趣向は悪くない。
レビューを見るとあまり人気はありませんが、職業としての悪を演じる登場人物のひとりたる詐欺師。その天の邪鬼さ加減がなかなか楽しませてくれます。
アクセルワールド
上記の2作に較べると、設定の無理さと言いますか、矛盾が目に付くこと甚だし。それでも勢いで読まされてしまうのは主人公の設定による。
自分に一切の自信を持てず、ひたすらに劣等感のカタマリ。それ故他者からの好意を素直に受けられず。自分を利用する為と思いながらもかけられた期待、ただそれに応える事に無上の悦びを得る心情。
それでも。そこからスタートして、友人を、仲間を、愛すべき対象を見いだしていく成長のストーリー。
もうね、多少の矛盾は無視して楽しんでしまいますよこれ。