2013年4月20日土曜日

Whisky Live Tokyo 2013

昨年からインターナショナルバーショウと一体化したウイスキーライブ。前回はFSDと重なって行けなかったけれど、今年は何とか行ける日程。しかし内容を見ると、バーショウとしての色合いが濃いイベントになってしまっているようで。イベント告知も、ライブのオフィシャルサイトは一切更新されず。twitterでも英語のつぶやきがあるだけ。FBもバーショウの案内だけで、今年はマスタークラスが無いなんて衝撃的な告知があったり。

マスタークラスが無いなら2日通しで行くことも無いなあと、チケットは土曜日のみ購入。一回20分のミニステージを二ヶ所で回して数をこなすようで、一部の整理券は事前申込みのみ。気がついた時は既に満席でした。webではウィスク・イーのブースで整理券を配付するとありましたが、実際は各主催者のブースで配布されました。

会場到着は1030。既に入場待ちの行列ができています。この日は天気も悪く、屋外で並ぶにはちとつらい。列が動き出したのは1110頃から。チケットとバーショウカードを提示して入場。バウチャーを千円分買って、オープニング会場へ。一階はバーショウメインの設え。ウイスキーライブとしては地下が当てられていますが、すぐには入れませんでした。

オープニングイベントが進む中、人の動きが見えたので流れに合流して地階へ。最初に向かうのはニッカのブース。試飲は後回しにしてミニステージの整理券をもらいます。次いでブルック・ラディ。バルブレアとフィーバー・ツリー、最後にハイランドパークを入手できたのも幸運。

幾つかのブースで有料・無料の試飲を。とても全部は覚えていないけれど。ジャックダニエルって実は飲んだことがなかったりするけれど、定番はきちんと押さえるべきだと実感。竹鶴21年はやっぱり良い。シングルカスク余市1988は凄い。うるさくないスモーキィさとナッツその他の味わいが絶妙に絡み合う。スモーキィハムの風味、確かに。ボトルの発売予定もあるそうですが、値段を訊いたらごめんなさいと言われてしまいました。ちょっと躊躇うお値段です。買って後悔しないボトルだとは思いますが。

アランも2杯、頂きました。ここも個性のあるボトルを出します。蒸留所再稼働となった信州マルスも飲ませてもらいました。来年あたり、新しいマルスのボトルが発売出来る様です。グレンファークラスも一杯。トマーティンも飲んだはずですが、もはや覚えていない体たらく。

ミニステージ 余市

ミニステージは余市が1330から。元チーフブレンダー、現余市工場長の杉本さん。ウイスキー作りにトリックはない。北の気候と自然への感謝。水質と豊富な水量、原料、鉄道 、等々。職人の手による石炭直火焚き、ストレートな形状のポットスティル、ダンネージ式の土間の貯蔵庫。年間を通しての平均気温8度はスコットランドとほぼ同じ。

余市として最近の挑戦は新樽貯蔵。確かにブレンダーズバーで見るシングルカスクのリストでも、ここのところ新樽が多い。ブレンダーとして最初の仕事はピュアモルトの白だそうです。出した当初はあちこちで怒られたとか。あんなクセの強いのを説明なしに出されたら、宜なるかな。

ティスティングはシングルカスク余市、ピーティ&ソルティ12年 53度。多目のピート、オレンジの香り、非常にパワフル。最後に土の味わい。塩の味。

質疑応答。
「ブレンダーとして一番大事にしてきたことは?」
「美味しいウイスキーを作ること。」

「今の一番のお勧めは?」
「色々あるのが楽しい。スーパーニッカと竹鶴は好きです。」

ミニステージ ブルックラディ(ブルイックラディ)

1330-1350、話手はスコッチ文化研究所代表、土屋守氏。のっけから、時間が短いから話が長くなるとティスティング出来ないよと冗談を飛ばします。
ブルックラディはアイラ島の西側、半島の付け根に位置する蒸留所。2001年にジム・マッケイが復活させた。アイラと言う島の特徴を持つ、原材料全てアイラ産にこだわった製品を作る。他のアイラ産のウイスキーも多くはスコットランド産の大麦を使う。例えばポート・エレンはイングランド・ノーフォークの大麦。ブルックラディで使う大麦は26の契約農家、100のテロワール。全ての農家の名前と顔を把握しており、全ての大麦はトレーサブルである。大麦の内オーガニック名物が50%。

全ての原酒をアイラで熟成させている。使っている道具は全てヴィクトリア時代からの伝統的な道具。これらを使い始めた理由は、蒸留所を復活させた時に資金がなかったからとも言うけれど、結果的にそれが良かった。現在はレミー・コワントロに買収され、その傘下にある。

クラシックは、エレガントでフローラル。ノンピーテッド。複雑でピュアな味わい。
ポートシャーロットはヘビーピーテッド。
オクトモアは、最も麦芽を効かせた。ウルトラへビィリィ。

試飲はアイラ・バーレイ2006。アメリカンホワイトオーク樽による熟成。アンピーテッド。ノンチル、色素無添加。麦芽はアイラで栽培されなくなっていたものを、ダンローシット農場で復活してもらった。
46度。麦芽のフレイバー、穀物の香ばしさ、オイリー。アイラの土地の力を感じさせる。スパイシー、潮っぽさ。テロワールの概念を持ち込んだウイスキー。大麦の力はノンピートでこそ味わえる。

ミニステージ フィーバーツリー(Fever Tree)

ちょっと趣向を変えてトニックウォーターのミニステージ。
本物のプレミアムなトニックウォーターを提供するブランド。ジンは兎も角、それを割るミキサーはお寒い状態だった。大手に独占され、キニーネも入らず添加物が多い代物が大手を振っていた。この停滞した状況を打破したいと参入。トニックウォーターはジンそのものと同じくらい大事だ。
歴史をそのルーツまで遡ると、インドでマラリアにかからないためにキニーネを摂取する目的で始まった。キニーネは元々ペルー産。ルワンダまで探しに出かけた。治安が悪く、農園を守るために携帯ロケットを携えた護衛が入るような環境。これだけの質のキニーネを使うトニックウォーターは他にない。キニーネはトニックウォーターの肝であるが、日本で普通に出回っているものにはキニーネが入っていない。

プレミアム・トニックウォーター キニーネと8つのフレイバー。強い炭酸。ジントニックにすると素晴らしい味わい。
レモントニックは、シシリア産のレモンを使用。
ジンジャービールは、三つの異なるジンジャーを使用している。フレッシュ・グリーンジンジャー、アイボリーコーストとインド、ナイジェリア産のジンジャー。ジンジャーを発酵させて使う事でこの味わいが出る。エールはジンジャーの汁を混ぜるだけ。カクテルで使う時にエールでも代用は可能だが、味わいが異なる。スモーキィでスパイシー。
ソーダウォーターは天然の軟水に炭酸を加えた。
プレミアムなトニックウォーターのパイオニアを自認している。現在38ヶ国で販売しており、スペインではトニックウォーターでアワードを得た。
ベストなカクテルのためのベストなトニックウォーター。スピリッツと一緒に出して良いものになっている。

ミニステージ バルブレア(Balblair)

マット・ライト氏が語る。ハイランドシングルモルトウイスキー。インバーハウスが所有する五つの蒸留所のひとつ。インバネスから40マイル程北のハイランド地方に位置する。全てのボトルが限定販売。ビンテージしか作っていない。1970年代から、200年以上続く蒸留所。昔ながらのやり方で、作り手は7人。マスターブレンダーのジョンのみが出荷を決める。
ライトさんはマーケティング担当だが、製産が少ないので出荷したい時に在庫ともある。新しいリリースとしては三種類出す予定。
ビンテージで出してアワードを得たが、デザインに不満が出てボトルのデザインを一新した。
使っているグランティバーンの水は、スコットランドで最も冷たい水。大麦は三種類。決まった農家からクオリティが保証されたものを購入。底の深いマッシュタンを使い、通常の倍の時間をかけて洗う。これによって純度が上がる。ウォッシュバックは使うと質が良くなるが、メンテナンスに悪夢の様な時間がかかる。樽にもこだわり。熟成には空気との接触が大切。蒸留所の近くに低く積む。三段までで、土間の貯蔵庫。貯蔵庫に入ると天使の分け前の香りがする。

試飲は2002年のボトル。46度。香が良い。オレンジの香り、ハチミツ、バニラ。最も若いリリースなのでフルーティな香り。グリーンアップル。熟成が進むと甘いバナナのような香りも出る。

40ヶ国に出荷している。アジアでは日本、台湾、ベトナム。樽はアメリカのバーボン樽を使用。今後はシングルカスクも検討している。

ミニステージ ハイランドパーク

最後に確保した整理券は、ハイランドパーク。話手は再び土屋守氏。蒸留所は70以上の島からなるオークニー諸島にある。人口2万人。州都はカークウォール。
ハイランドパークの製造の要は五つのキーストーン。フロアモルティング、アロマティックピート、オークのシェリー樽、低温熟成、異なるカスクの調和。
強風が吹き、木が生えない土壌故、ピートには木が混じらず優しいスモークの風味を生む。350トンのピートを手作業で毎年切り出す。採掘はHobbister Moorの所有地。

シェリー樽による熟成が特徴、アメリカ産とスペイン産の樽。メインはオロロソシェリー。ヨーロピアンオークを主体。25%がファーストフィルシェリー。18年は69%がファーストフィル。

昨年からValhalla Collection を出している。第一段はTHOR(北欧神話の雷神トール、英語読みだとソー)。アスガルドの支配者。ボトルのパッケージはバイキングシップの船首をモチーフにしている。
試飲は第二段のLOKI。巨人の息子。トラブルメイカーであり、分かりにくい神様。パッケージはTHOR同様。発売は未定、度数48.7%。15年熟成が最低で、上はどれだけのものを使ったかは秘密。長熟のクセのある原酒。それほど濃くない色合い。フルーティなアロマ。ピート、酸味、オレンジのスモーク、長熟の複雑さ。フィニッシュが長く、ドライでピーティ。刺激のあるスパイシーさ。これらがLOKIの名に相応しい複雑さ。


ハイランドパークのミニステージを終えたところで17時。まだ一時間ほど残していますが、これ以上飲むと本当に潰れてしまいそうなので、撤収。

ミニステージだと数をこなす事は出来ますが、整理券を手に入れるのが面倒。時間も短いので物足りない。やはり有料でも良いので、マスタークラスの復活に期待したいところです。